Core30メーカーを退職しました

ご報告

2018年から約四年間お世話になったCore30のメーカーを退職しました。とにかく儲かっていた会社だったので、数億規模のプロジェクトをいくつも任せていただき、良い経験をさせてもらえました。少ないながらも、国際色豊かで気の合う友人もできました。ありがとうございました。


今にして会社を振り返ると、食堂のご飯は安くて美味しいし、ウォーターサーバーやコーヒーサーバーなど福利厚生も充実していました。新しい社屋は広大で美しく、謎の清掃員方によって隅々まで掃除が行き届いていて清潔でした。現在も続く在宅勤務のおかげで、通勤ストレスがゼロであることも凄まじくQOLに寄与しました。もし新卒で入社していたら、生涯勤め上げたかもしれない程度には良い会社でした。

転職理由について

転職理由はプラスなものが殆どですが、あえて会社に三行半を突きつけたことにフォーカスすると、自覚的なマイナス要因が二つ存在します。


ひとつは単純に仕事が楽しくなかった点です。Core30規模のメーカーはどこもそうだと思いますが、組織が官僚化しており「正社員は直接手を下さず、下請企業をうまく使って成果を出す」ような企業文化が醸成されています。社員は技術的課題に触れず、下請けにすべてやらせる、という構造がどの職位でも肯定され、ならば正社員は何をするのかといえば専ら調整役をこなしていました。

つまり、残念ながらエンジニアリングという観点ではあまり良い環境ではなかったです。このあたりは、元本田技研の方が著されたこの記事に共感できる点が多々ありました。

新卒で入社した本田技術研究所をたった3年で退職しましたttps://honda.hatenadiary.jp/entry/2018/09/17/175609


また、自身は「チーム構成力」より「技術力」を好むきらいがあり、人を管理するような仕事に愉しさを見出すことができませんでした。同様に、癖の強い社内の面々との折衝は愉快なものではありませんでした。今後、ずっとこのような仕事を続け、技術者ではなく管理者になっていく不安や不満。それらが退職理由の一端を担っていたことは否定できません。

年収に対する考え方

もうひとつの理由は、経済的合理性を追求した結果です。
昨年所得は、有価証券報告書から推察される自社の平均年収を(一応)超えています。33歳という年齢、そして厚労省の賃金構造基本統計をみるに、働きに対してはそれなりに報いていただいている方なのかなと。ただし前述のような好きでもない仕事に対する我慢料という観点では微妙なラインでした。


そうした折に、いくつかの企業からお誘いをいただき、転職市場というフィルタを通して観た自身の市場価値と、現職の実年収に乖離があることを目の当たりにしました。自身の観測範囲でいうと、日系大手では昨年所得の1.5倍程度、外資系になると2倍近い年収提示も珍しくなかった。

背景として、昨今はあの経産省ですら「2025年の崖」という標語を掲げてITの必要性を説いており、IT人材の需要が高まっています。その結果、日系大手や外資が入り交じる熾烈な人材獲得競争が生じて、情報工学系人材の待遇は釣り上がりつつあります。もはや明確にフェーズが切り替わった感がありますね。

それらを受けて、では今いる会社はどうなんだと俯瞰してみたときに、実際に社内で仲の良い方々に年収カーブを教えてもらったところ、30歳で700万、40歳で1000万くらいが所謂「いい大学を出た総合職」の年収期待値のようでした。仲の良い友人や妹は億近い高級住宅を購入してるみたいなんですが、一体どうやっているんだろう。少なくともJTCではかなり出世しないと無理だなと。

次を見据えて

いずれにせよ、資産形成する上で労働所得の最大化を図ることは必須だと感じていたので、昨今のIT人材売り手市場化の流れは渡りに船でした。秒で面接を依頼し、新卒時の百倍は楽に転職活動を終えました。

ちなみに、外資系はUPorOUTに代表される企業文化や離職率が好きではないので、自然と選択肢から外れました。RSUやSOは本当に魅力的でしたが、そもそも年収が高すぎても、課税比率が上がり可処分所得はさほど伸びなくなるため、労働時間やプレッシャーを考えるとお得感は薄かったです。

次は所謂マスコミに入社します。準キー局ですが、関西で働けるということが大変魅力的でした。ITとの接し方に大きな危機意識を持っている業界なので、なかなか面白い仕事ができそうです。